IPAnalyzer Help Overview本ソフトはIPで撮影したデバイシェラー環を高精度かつ高速に一次元化することを目的に作成しました。 本ソフトは産業科学総合研究所の藤久裕司氏が作成されたPIPの設計や機能をお手本にさせていただいております。 本ソフトの特徴は » さまざまな画像形式に対応 (Rigaku R-Axis IV/V, Buker CCD, Fuji BAS2000/2500, Fuji FDL, ITEX形式, Rayonix SX シリーズ) » PDIndexerとの連携 » 測定パラメータの半自動解析機能 などです。 実行環境など必要動作条件.Net Framework 4.0以上 本ソフトは.Net Framework 4.0で動作するように設計しています。 .Netアプリは中間コードを実行時にコンパイルしますので、Windowsのバージョンや32/64bit環境を問わず、.Netさえインストールされていれば動作します。 推奨動作条件» メモリ: できれば >4GB位 » CPU: できれば >2GHz & >4コア ソフト内部ではマルチスレッド化した演算を多用しています。そのため、複数のコアを内蔵したCPUを用いた方が、より快適に動作すると思います。 読み込んだ画像中の強度はプログラム内部で32bit符号なし整数型に展開します。 軸の向き、IPの傾き、ピクセル形状本ソフトでは、右手系の座標系を採用し、原点、各軸の方向などを以下のように定義しています。
»
エックス線あるいは電子線がIPと交わった点(ダイレクトスポット)の位置を原点(0,0,0)と定義し、Z軸はエックス線の進行方向に一致していると考えます。 » サンプルサイズを無限小と考えた時の、サンプル位置と原点との距離をカメラ長(Camera length, CL)と定義する。サンプルの座標は(0,0,-CL)ということになります。 » X軸は、IPが傾いていないときの、IPの読み取りレーザーの走査方向と一致させます。当然Y軸は画面下向きになります。 » IPの傾きは原点を通るXY平面上の直線を軸とした回転で表現します。すなわちX軸とのなす角がφである赤い直線の周りをτだけ回転する状態を考えます。 » 画素の形状はPixSizeX, PixSizeY, ξで表される平行四角形を考えます。ξが0でないときは、IPの読み取りレーザーのスキャン開始点の位置にずれがあることを意味しています。ただし、本ソフトウェアではそのずれの量はY軸に対して一定であると仮定して計算をおこなっています。 (WIN)PIPとの関係IPAの場合 X軸(IP画像右方向)を時計回りにΦだけ回した軸をτだけ回します。一方PIPはY軸(IP画像下方向)を反時計回りにβだけ回した軸をΦだけ回します。ですので、PIPの(β, Φ)をIPAの(Φ, τ)に変換するには、(β, Φ) => (270°-β, Φ)としてください。 ピクセル強度の積算方法について強度の一次元化における最大の問題は、一次元化をする際の角度のステップ間隔が画素間隔(すなわち画素サイズ)より小さい場合、複数のステップにまたがる画素の強度をどのように各ステップに配分するか、ということです。 本ソフトでは上図のようにステップを区切る線(緑破線)と画素との交点(オレンジ色)を計算し、あるステップに含まれる画素中の面積(ハッチ部分)を求めることで強度を分配します。また後述するようにIPの傾きやピクセル形状が歪んでいる場合は画素の形状は正確な正方形ではないため、画素の四隅の座標(赤色)を逐次計算し、四角形の形状を求めています。この方法によって原理的にはステップをどれだけ小さくしても画素強度は各ステップに滑らかに配分されます。 このアルゴリズムは通常の角度-強度積算(Concentric Integration) だけでなく、円周に沿った積算(Radial Integration)や切り開き展開画像演算 (Unrolled Image)などにも使用しています。 Main Windowメイン画面(起動して最初に立ち上がる画面)の説明です。 中央画面画像表示部分読み込んだ画像を表示します。画像の上部にはマウスポインタ座標や中心からの距離、角度、d値などが表示されます。赤の×印はダイレクトスポット位置です。 表示色水色: マスクされたピクセル 緑色: 積算対象外領域 (Property =>Integral Regionにて設定) 紫色: 積算対象外角度領域 (Property =>Integral Propertyにて設定) 青色: 閾値強度以下のピクセル (Property => Integral Region => Under Intensity of ###にて設定) 赤色: 閾値強度以上のピクセル (Property => Integral Region => Over Intensity of ###にて設定) マウス操作通常時とマニュアルスポットモード時で動作が異なります。 通常時左クリック(長押し): 選択したピクセル近辺でスポットの中心を検索し、その情報を表示します。 左ダブルクリック: Center positionが更新されます。 右ドラッグ: 選択範囲を拡大します。 右クリック: 画像が縮小されます。 マニュアルスポットモード時左クリック: 選択領域をマスクします。 右クリック: マスクされていた領域を削除します。 補助画面
Whole選択すると画像全体の縮小を表示します。メインウィンドウの表示部分が黄色い枠で表示されます。 Near Center選択すると中心付近の拡大画像を表示します。 イメージ情報画像の解像度、最大強度、合計強度、画像ファイルのヘッダに含まれていた情報などを表示します。 表示調整部Gradient表示をPositiveにするかNegativeにするか選択できます。 Scale1対数(Log)スケールか、直線(Liner)スケールかを選択します。初回起動時は対数になっています。 Scale2画像をグレー(Gray)スケールか、寒暖(Cold-Warm)色で表示するかを選択します。初回起動時はGrayです。 Auto Contrast画像のコントラストを自動調整します。 Reset Contrast強度0を最小値、強度65536 (=2^16)を最大値に設定します。 Max Int.最大輝度を数値あるいはスライドバーで入力してください。 Min Int.最大輝度を数値あるいはスライドバーで入力してください。 下部画面Frequency of Intensity画像に含まれる全ピクセルの強度の頻度図です。縦横軸ともログスケールです。マウス操作で拡大縮小ができます。 Converted Profile「Get Profile」ボタンを押した後、変換したプロファイルが表示されます。マウス操作で拡大縮小ができます。 ファイルメニュー関連Fileファイルの読み書き関連。画像ファイル、パラメータファイル、マスクファイルの読み込みはドラッグドロップも対応しています。 Read Imageイメージを読み込みます。現在のところ以下の形式に対応しています。 » Rigaku R-Axis IV (*.stl) » Rigaku R-Axis V (*.img) » Buker CCD (*.ccd) » Fuji BAS2000/2500 (*.img) (読み込み時に同一名の *.infファイルが必要) » Fuji FDL (*.img) (読み込み時に同一名の *.temファイルが必要) » ITEX (浜ホトCCDなど) (*.img) » Rayonix SX シリーズ (*.####, #は数字) これ以外の画像形式も適宜対応していきます。 Save Imageイメージを書き込みます » As TIFF format: TIFFフォーマットでイメージを保存します。ダイナミックレンジによって自動で8, 16, 32bit深度のTIFF画像を生成します。このオプションでは、brightness/contrastやマスクエリアなどは無視されて、オリジナルのピクセル強度がそのまま保存されます。 » As PNG format: PNGフォーマットでイメージを保存します。このオプションでは、brightness/contrastやマスクエリアなどを含め、“見たまま”の画像が保存されます。 » As IPA format: IPAフォーマットでイメージを保存します。このオプションでは画像のゆがみを補正し、完全な正方形ピクセル画像を生成します。また波長やカメラ長などの情報も書き込まれます。 Read Parameter波長やフィルム距離などのパラメータを読み込みます。 Save Parameter波長やフィルム距離などのパラメータを書き込みます。 Read Mask積分除外領域(Mask領域)を読み込みます。(現在表示中の画像と同じ解像度の場合のみ) Save Mask現在の積分除外領域(Mask領域)を読み込みます。 Exitプログラムを終了します。 ToolPropertyProperty画面を表示します。詳しい説明はPropertyの項にて。 Reset Frequency ProfileFrequency Profileを消去します。 Calibrate RAxis Image実装していません。時間がなかなかなくて。 OptionTool Tipチェックされているとき、ソフト中のボタンなどにマウスカーソルを押すとTool Tipが表示されます。 HelpAbout Meバージョン情報などを表示します。 Hint起動時に表示されるHintを手動で表示したい場合にクリックしてください。 Help(Web)このページを表示します。 演算ツールBackground未実装 Find Centerデバイリングパターンの中心位置を探します。現在の中心位置から設定範囲内で(デフォルトでは8Pixel)で2次元PseudoVoigt関数フィッティングを行います。 Option を選択するとProperty => Find Center画面が表示されます。フィッティングするPixel数を設定できます。 Mask Spotsリング上にスポット(回折斑点)が現れてしまったとき、このボタンを押すことでスポットにマスクをかけることができます。 Clear All Spots全てのスポットの選択を取り消します。 Mask All Area全てのピクセルをマスクします。 Inverse Maskマスクを反転します。 Manualこれをチェックするとマウスでスポットを選択することが出来ます。 Optionオプションを開きます。Mask Spotsを押したときのSpot判定基準やマニュアルモードのときのマスクの大きさ/形状などを設定します。 Get ProfileGet Profileボタンを押すと、読み込んだIP画像から一次元化したプロファイルを計算します。 計算したプロファイルは拙作ソフト「PDIdexer」に送信するか、csvファイルを書き出します。 Get Profileボタンを押した後の動作は Property => After “Get Profile” で設定できます。 Integral PropertyConcentric integrationが選択されている場合はダイレクトスポットから同一散乱角にあるピクセルの強度をまとめて積算し、 Radial Integrationが選択されている場合はダイレクトスポットから指定した角度(あるいは長さ)範囲の領域について、画面右方向をから時計回りに強度を積算します。 Integral RegionIntegral Region 設定画面を開きます。積分対象にする画像領域を矩形あるいは扇形で設定します。 Find Center before Get ProfileチェックされているとGet Profileの前に、自動でFind Centerを実行します。 Find Spots before Get ProfileチェックされているとGet Profileの前に、自動でFind Spotsを実行します。 Lattice Preferred Orientation Analysis配向性評価のための解析を実行します。 Property Windows処理に関する様々な設定を行います。 Wave Source入射線の種類、エネルギーなどを設定します。 X-ray
管球線源の場合は元素と、遷移軌道(K線、L線など)を選択してください。波長が自動で入力されます。 放射光の場合は0:Customをえらび、さらにテキストボックスに波長を入力してください。 Electorn電子線源の場合はエネルギーを入力してください。相対論補正をした波長が自動で入力されます。 IP ConditionCamera Length
試料とIP上のダイレクトスポットとの距離をミリメートルで入力します。 Pixel Size画像1Pixelあたりの大きさ(単位:mm)を入力します。 X, Y, ξ : 座標系を参照 Tilt CorrectionIPの傾きを補正します。値を入力してもチェックしないと傾き補正は行いません。 Φ、τ: 座標系を参照 Center Position回折パターンの中心位置を入力します。通常はFind Centerで計算するので手動で入力することはあまりないと思います。また画像形式が変わるとその画像形式で最近使ったCenter Positionが自動で入力されます。
Integral RegionRectangle
IP画像中の積分する領域を矩形(長方形)で制限したい場合は、Rectangleラジオボタンを選択します。このモードでは積分範囲を矩形として設定します。矩形の大きさ、幅、角度などが入力出来ます。 Direction: 積分する矩形の方向を選択します。 Band Width: Full以外を選択したときの矩形の幅を選択/入力します。 Both Side: Freeを選択したときに有効になります。チェックすると矩形を中心対称の形にします。 Angle: Freeを選択したときに有効になります。矩形の方向を自由な方向に設定できます。 SectorIP画像中の積分する領域を扇形で制限したい場合は、Rectangleラジオボタンを選択します。角度は画面右方向が0°で時計回りに進みます。 Start Angle: 扇形の開始角を入力します。 End Angle: 扇形の終了角を入力します。 Exceptional Pixels上記二つの領域制限のほかに、計算から除外したいピクセルを設定することができます。 Masked Spots: チェックされているとFind Spots あるいはManual Spotで選択した 水色のピクセルを積分対象から除外します。 Under Intensity of # : 指定した強度以下のピクセル(青く表示)を積分対象から除外します。 Over Intensity of #: 指定した強度以上のピクセル(赤く表示)を積分対象から除外します。 # pixels from edges: 画像の上下左右端から指定したピクセル数だけの領域を積分対象から除外します。 Integral Property積分するプロファイルの開始位置と終了位置や閾値などを設定します。この設定にしたがってGet Profileは実行されます。 Concentric Integrationここがチェックされているときは、中心から同心円に分布する強度を積算して、散乱角を横軸とした強度プロファイルを計算します。 Integral Step & RangeAngle: 横軸を回折角度(2θ)に設定します。 Length: 横軸を中心からの距離(mm)に設定します。 d-spacing: 横軸をd-spacingに設定します。 Start, End, Step: 横軸に選んだ単位で開始、終了、ステップ幅を設定します。 Output PatternBragg-Brentano: Bragg-Brentano光学系になるように強度を変換します。 Debye-Scherrer: 未実装 RadianIntegrationここがチェックされているときは、中心から設定角度範囲内の円周に沿って、右向きを0°として時計回りに設定ステップで強度プロファイルを計算します。 Angle: 横軸を回折角度(2θ)に設定します。 d-spacing: 横軸をd-spacingに設定します。 Sector Angle Step: 指定したステップで強度を展開します。 Find Center & SpotsFind CenterSerch RangeFind Centerボタンを押したとき、現在のDirect Spot位置から指定したピクセル数の範囲で中心点を探します。 MaskMask Spotsを押したときのSpot判定基準やマニュアルモードのときのマスクの大きさ/形状などを設定します。 Deviationスポットかどうかをきめるしきい値です。スポットの判定は次のような方法で行っています。pixelステップで積分範囲を積分し、各ステップごとに平均強度と標準偏差を求めます。次に各ステップに属するピクセルの内、平均値±標準偏差・Deviationの範囲を超えてしまったものをスポットみなします。 Manual __ ptマニュアルモードのときのマスク領域の大きさと形状を設定します。直接数値を入力することもできます。Circleを選択すると円、Rectangleを選択すると正方形のマスク領域に設定されます。 After “Get Profile”Save Fileこのチェックがついているときは積分後、プロファイルを保存します。 at the chosen directory each time: 積算の度に、保存ダイアログが開きます。 at the same directory of the image: イメージファイルと同じ場所に同じ名前でプロファイルを保存します。 as PDI/CSV format: 保存する形式をpdi形式かCSV形式で選択します。 Send PDIndexerこのチェックがついているときは、積分後、クリップボード経由でPDIndexer(起動している場合のみ)に積分プロファイルを送信します。 Unrolled Image OptionUnrollボタンを押したときの動作を設定します。 Horizontal Unit and Range画像の横方向の情報を設定します。 Angle: 横軸を回折角度(2θ)に設定します。 Length: 横軸を中心からの距離(mm)に設定します。 d-spacing: 横軸をd-spacingに設定します。 Start, End, Step: 横軸に選んだ単位で開始、終了、ピクセルあたりのステップ幅を設定します。 画像の幅(ピクセル数)は(End-Start)/Stepになります。 Vertical Step画像の縦方向の1ピクセルあたりの角度を設定します。画像の高さ(ピクセル数)は360/stepになります。 各種ツールIntensity Table画像をダブルクリックするとその点を中心の強度テーブルを表示します。テーブルの範囲は自由に変更できます。 Auto ProcedureWatch and Load a new image from the current
directory
直前に読み込んだディレクトリに新しい読み込み可能なファイルが作成された場合、自動で画像を読み込みます。 After Loading Image, Execute “Auto”画像を読み込んだ後、続けて下で説明する”Auto”を実行します。 AutoAdjust Level”, “Find Center”, “Find Spots”, “Pixel Intensity”, “Angle Intensity”の一連の作業を自動で実行します。チェックがついているものだけが実行されます。 Draw RingI IPの傾きやピクセル歪みを考慮して、指定した距離、角度、あるいはd値のリングを描きます。アクティブでないテキストボックスはクリックして選択することで入力可能になります。 Unroll画面を切り開きます。クリックするとProperty => Unrolled Image Option 画面が自動で立ち上がり、切り開き条件を設定します。 Find ParameterIPAnalyzerに組み込まれている「Find
Parameter」は標準物質の回折リングパターンからピクセルの形状、カメラ定数、線源の波長などを計算するツールです。 Primary & Secondary Imageこの部分では画像ファイル固有の設定をします。 1. Open: Primaryの画像ファイルを読み込みます。自動的にメインウィンドウの画像が更新されます。横のピクチャーボックスをクリックすると回折線の色を変更できます。 2. Center Position: Primary画像の中心位置直接入力することもできますが、メインウィンドウでFindCenterをすると自動で中心位置が入力されます。またテキストボックスをダブルクリックしてもメインウィンドウでの中心位置が入力されます。 3. Camera length: おおまかなカメラ長を入力してください。あるいGetProfileをしたあと、直接回折線をドラッグすることでも変更できます。Film DistanceはPrimaryにのみ入力します。SecondaryにはPrimaryとの差を入力してください。PrimaryとSecondaryのカメラ長の差は全体のパラメータを決める上で最も重要です。 4. Get Profile: 現在のパラメータで画像積分を行います。プロファイルは画面の下に現れます。きれいに出ないときは、下で説明する「Parameters」の項目を確認してください。 5. Open: Secondaryの画像ファイルを読み込みます。Primaryを読み込むとSecondaryが読み込めるようになります。横のピクチャーボックスをクリックすると回折線の色を変更できます。 6. Center Position: Secondary画像の中心位置。直接入力することもできますが、メインウィンドウでFindCenterをすると自動で中心位置が入力されます。またテキストボックスをダブルクリックしてもメインウィンドウでの中心位置が入力されます。 7. Camera length: Primaryとのカメラ長の差を入力してください。PrimaryとSecondaryのカメラ長の差は全体のパラメータを決める上で最も重要です。 8. Get Profile: 現在のパラメータで画像積分を行います。プロファイルは画面の下に現れます。きれいに出ないときは、下で説明する「Parameters」の項目を確認してください。 Peak Listパラメータを計算する上で用いる回折線の指数を選択します。なるべく細く、高く、他のピークと近くないピークを選ぶのがコツです 9.Peak List: No.: 回折線の番号 hkl: 回折線の指数 Primary, Secondary: 回折線のチェックボックスとピーク位置(mm単位)が表示されます。フィッティングがうまくいっていないときは「-」が表示されます。パラメータ計算する上で使いたい指数をチェックしてください。 10. Get Camera Length: このボタンを押すと、パターンを角度分割せず、全領域の積分からカメラ長を求めます。 11. Get Wave Length: このボタンを押すと、パターンを角度分割せず、全領域の積分からX線波長およびピクセルサイズを求めます。 Parametersこの部分では光学系とIP全般の設定を行います。各パラメータの意味は以下の通りです。 Wave Length: X線の波長。初期値はメインウィンドウの値です。 Film Distance: 左側で設定したPrimaryのFilm Distanceが自動で入力されるのでこの場所では変更できません。 Pixel Size: ピクセルのサイズ。初期値としてはIP読取装置やCCDカメラのカタログ値を入力すれば大丈夫です。 Pixel Distortion: ピクセルのゆがみ。初期値は0でいいです。 Tilt Correction φ,τ: IPの傾き。ここの値も初期値は0でいいです。 12. Initial: パラメータの初期値が表示されます。Find Parameter起動直後はメインウィンドウ側の値がコピーされます。「Get Profile」(4,8)の時にはこの値を使って積算が行われます。 13. Refined: 最適化した後のパラメータが表示されます。 14. Error: 最適化パラメータに対する誤差(1σ)が表示されます。 15. Set initial prameter from Main form: このボタンをおすとメインウィンドウのパラメータがこのウィンドウにコピーされます。 16. Send refined parameter to Main form: このボタンをおすと最適化終了後のパラメータがメインウィンドウにコピーされます。 17. Copy Clipboard: このボタンをおす最適化パラメータがクリップボードにコピーされます。 Refinement Option18: チェックした項目がフィッティングの対象になります。 Wave Length: Wave Lengthは放射光を用いる際にチェックしてください。特性X線源の場合は必要ありません。 Film Distance: Film Distanceを精度よく決めるためには2枚の写真とそのカメラ長の差が必要です。X線の波長がわかっている場合は1枚の写真からでもまずまずの精度で計算できると思います。 Tilt Correction: Tilt Correctionはおそらくほとんどの場合チェックしたほうがいいと思います。どんなに注意深くIPを設置しても0.1°程度のずれは出てしまうようです。 Pixel Size: Pixel SizeはIPの読取機構に依存するパラメータです。CCDカメラの場合はカタログ値どおりで問題ありません。 Pixel Distortion: Pixel Distortionは画素のゆがみを表す量です。このパラメータをフィッティングするかどうかはあなたの哲学によります。個人的にはほとんど必要ないと思います。 19: フィッティングの際の積分範囲の形状を設定します。 Sector, Rectangle: 積分範囲を、扇形にするか、矩形(短冊状)にするかを選択します。 Division: 角度分割数を設定します。大体16~24くらいが最適のようです Band Width: Rectangleモードのときだけ有効です。できるだけ小さいほうがフィッティングの精度があがるんですが、ノイズが増えてしまいます。大体3-5%くらいが適しているようです。 20. Fitting Range: フィッティングする範囲を指定します。この値を大きくすると解は安定しますが、隣のピークに影響されてしまうかもしれないのでご注意ください。 21. Threshold of peak: どのくらい鋭いピークをピークとみなすかというしきい値(Signal強度/(Signal+Background強度))です。この値を下回るピークは最適化の際に除外します。 22. Standard Crystal Parameter: 標準物質の設定を行います。回折線の位置だけが重要なので(強度は考慮しない)格子定数と空間群さえ指定されていれば十分です。標準ではCeO2のデータが入っています。 23. Refresh form during refinement: 最適化の最中、メインウィンドウの画面を更新するかどうかを選択します。 24. Peak Decomposition: ピークをプロファイル関数でフィッティングする際、近接したピークを分解するかどうかを選択します。精度はあがりますが、速度はかなり遅くなります。そもそもピーク分解が必要な物質を標準物質としてつかうことに問題があるかも。 25. Clear all graphs: すべてのグラフを消去します。 26. Show schematic diagram: 上述のパラメータを説明する模式図を表示します。 27. Refine!: 最適化を実行します。実行中はStop表示に切り替わります。 28. Repetition Number: 最適化の繰り返し回数を指定します。 Graph †最適化を実行するとそれぞれのパラメータの変遷がグラフとして逐一更新されます。 29. Ellipse Center Position: 回折リングの中心位置がプロットされます。mm単位でプロットされます。赤、緑、青の順に新しいデータになります。このグラフはTilt Correctionと関係していて、収束が進むとばらつきが小さくなっていきます。 30. パラメータ変遷グラフ: 横軸が最適化回数を表し、右に最新のデータが足されていきます。縦軸は自動的に変化します。 31. The mean relative residual: 最適化一回ごとに、Primaryのプロファイルに対して計算値と観測値とで(平均して)どれくらいずれているか(mm単位)を表しています。この値が十分低くなったら最適化は終了してよいでしょう。 Profile View32. Profile View: 横軸がダイレクトスポットからの距離(mm)、縦軸が回折強度のグラフを表示します。22.で設定された標準物質の回折線が表示されます。回折線の位置はマウスドラッグで動かすことが出来ます。 実際の手順ここでは具体的にどのようにしてパラメータを決めていくかを説明します ダブルカセット編1. カメラ長の違う2枚の標準物質回折パターンを撮影する。標準的なセッティングの方をPrimary、そうでないほうをSecondaryとする。 2. IPAnalyzer起動後、本体画面下のFind Parameterを起動する 3. Initial Parameter(12.)をチェックし、ある程度近い値を入力しておく。標準物質を変えたいときは Standard Crystal Parameter(22.)から変更しておく 4. Open(1.)をクリックし、一枚目の標準物質の画像を読み込む。 5. メイン画面でFind Centerをして中心位置をきめる。(自動でFind Parameter画面の中心位置が更新される。) 6. Get Profile(4.)してプロファイルを得る。Profile View(32.)に表示される。 7. 表示されたピーク位置にあうように、回折線を動かすと、Camera Length(3.)が更新される。またその回折線に近いピークが自動的にフィッティングされ、Peak List(9.)に回折線の位置が表示される。うまく回折線がフィッティングできない場合はFitting Range(20.)およびThreshold of peak(21.)を小さくする。 8. PrimaryとSecondaryのカメラ長の差(7.)を入力する。この値は負でもかまわない。 9. Secondaryに関してPrimaryと同様にイメージ読み込み、中心位置設定、プロファイル取得、回折線の位置移動をおこなう。 10. Peak List(9.)から最適化に用いる回折線をチェックする。最低一本はPrimary,Secondaryで共通の指数を選び、かつイメージごとに3本以上回折線を選択する。なるべく全周の積分が撮れている(途中で切れていない)回折リングを選ぶ。 11. Refinement Option(18.~28.)をチェックしてRefine(27.)を実行 スリット型イメージからカメラ長と波長のみを決めたい場合Pixelのサイズ X,Y と Pixel 歪みξ, IPの傾き φとτといったパラメータは全周イメージを撮らないと正確に決められませんが、とりあえずカメラ長と波長のみ決めたい場合は以下の通りです。 1. Primary Imageを読み込む。 2. Mainのウィンドウに戻り、「Integral Region」(Get profileボタンの右の▼を押す)の設定をして積分領域をスリット形にする。 (例: Rectangleをチェック、DirectionをVerticalにしてBand Widthを300 にする) 3. 中心位置をFind Centerで入力 4. FindParameterに戻りPrimary ImageのGet Profileをする。 5. Secondary Imageを読み込み、上述3~5を繰り返す。 6. Primary と Secondaryのカメラ長の差を入力する。 7. フィッティングに使えそうなピークを指数テーブルの中からチェックする。数個以上、PrimaryとSecondaryのセットでチェックしないとうまくいきません。 8. テーブル下のGet Camera Lengthボタンを押すと、カメラ長がRefined Parameterの所に表示されます。 9. Get Wave Lengthボタンを押すと、少し時間がかかりますが波長がRefined Parameter に表示されます 標準試料なしでカメラ長を求めたい場合FindParameter画面の中に" 1. カメラ長の違う2枚の物質回折パターンを撮影する。標準的なセッティングの方をPrimary、そうでないほうをSecondaryとする。 2. それぞれについて中心位置を適切に設定し、Get Profileしておく。 3. 両方のパターンに含まれるピークを追加する。ピークの追加は左ダブルクリック、移動は左ドラッグ、削除は右クリック。プロファイル画面の左上に現れるラジオボタンで、Primary/Secondaryを切り替えることができます。ピークを追加すると低角側からNo1, 2, 3...とラベルが自動でつきます。 4.
Primary,
Secondaryで共通に出現するきれいなピークについて、 |