3.6. サイトシンメトリーとワイコフ位置

サイトシンメトリーの概念

 サイトシンメトリー (site symmetry) という用語は通常 「席対称性」 と和訳されることが多く、その語感から結晶中のある席 (位置) における対称性を示す言葉だろうと想像されます。ただ、サイトシンメトリーの概念をもう少し明確にするためには、「席対称群」 あるいは 「席対称点群」 という訳語で覚えた方が良いかもしれません。サイトシンメトリーとは対象となる空間群の部分群としての点群です。もう少し詳しく説明します。


 ある空間群 \(G\) の対称性に従う空間中に点 \(X\) があったとします。空間群 \(G\) の中から、点 \(X\) の位置を不変に保つような対称操作があるかどうか、探してみましょう。位置を不変に保つのですから、並進を含む操作ではありえません。回転操作か回反操作のいずれかです1

 まず真っ先に思いつくのが恒等変換です。空間群に限らず、全ての群は必ず恒等変換操作を含んでます。こいつは何もしない操作ですから、当然 \(X\) は不変に保たれます。次にもし空間群が \(2\) 回回転操作を含んでいて、たまたま \(X\) がその回転軸上にあったとしたらどうでしょう。軸上の点は回転しても動きませんから、この操作も合格です。さらに空間群が対称心操作も含んでいて、たまたま \(X\) がその対称心と一致したらどうでしょう。もちろんこれも合格となります。

 このようにして空間群 \(G\) の中から \(X\) を不変にする操作を全てかき集めたら、その操作の集合は \(X\) を不動点とする点群になるはずです。材料はすべて \(G\) の中から選びましたから、当然その点群は \(G\) の部分群でもあります。この点群を位置 \(X\) におけるサイトシンメトリーと呼びます。

 サイトシンメトリーの概念は次のように説明することもできます。位置 \(X\) を中心とする立体が存在する場合、その立体の形状は位置 \(X\) のサイトシンメトリー (点群) に従います。例えば、サイトシンメトリーが \(4/m\) である位置になんらかの分子や原子があれば、その分子や原子の形状は必ず点群 \(4/m\) の対称性を満たす、ということです。

 サイトシンメトリーは結晶構造を理解する/解析するうえでとても役に立つ概念ですので、知っておくと得をします。そして、是非セットで理解しておきたい概念が、次項で述べる 「ワイコフ位置」 です。


ワイコフ位置とは

 ワイコフ配置とは、サイトシンメトリーが共役な関係となる位置をまとめたものです。空間群 \(P\bar{1}\) を例として説明します。\(P\bar{1}\) が含む操作は 4×4 アフィン行列で次のように表現することができます。

$$ \begin{pmatrix}1&0&0&n_1\\ 0&1&0&n_3\\ 0&0&1&n_3 \\ 0&0&0&1\end{pmatrix},
\begin{pmatrix}-1&0&0&n_1\\ 0&-1&0&n_2\\ 0&0&-1&n_3 \\ 0&0&0&1\end{pmatrix}
$$一つ目は恒等変換を含む並進群であり、二つ目は対称心操作の集合です (\(n_1,n_2,n_3\)は全ての整数を表しています)。さて、\(P\bar{1}\) に従う空間中のある位置を分率座標で \((x,y,z)\) と表すことにして、それのサイトシンメトリーを検討しましょう。

 まず、\(x,y,z\) が全く制限のない自由な実数であったとしても、恒等変換だけはこの位置を不変に保ちます。すなわち、サイトシンメトリーは \(1\) です。それでは恒等変換以外の操作はこの位置をどこに動かすでしょうか?全てを書き下すことはできませんが、\(n_1,n_2,n_3\)が全ての整数を表すとして以下のように表現できるでしょう。$$(x+n_1,y+n_2,z+n_3) \,\,\, , \,\,\, (\bar{x}+n_1, \bar{y}+n_2, \bar{z}+n_3)
$$これらは空間群の操作によって写された等価な位置の集合であると言えます。これらの位置のサイトシンメトリーも当然全て \(1\) であり、もとの空間群の部分群となっています。


 次に \((x,y,z)\) が \((0,0,0)\) であるとしましょう。この場合、恒等変換に加えて原点に位置する中心対称操作$$
\begin{pmatrix}1&0&0&0\\ 0&1&0&0\\ 0&0&1&0 \\ 0&0&0&1\end{pmatrix},
\begin{pmatrix}-1&0&0&0\\ 0&-1&0&0\\ 0&0&-1&0 \\ 0&0&0&1\end{pmatrix}\,\,\,\,\,\, \cdots (1)
$$という二つの操作が \((0,0,0)\) を不変に保ちます。この二つが作る点群 (サイトシンメトリー) は \(\bar{1}\) です。それではこの二つの操作に限定せず全ての操作を作用させると、位置 \((0,0,0)\) はどこに写るでしょうか? すぐに分かりますね。以下の位置が答えです。
$$(n_1,n_2,n_3)
$$くどいですが、\(n_1,n_2,n_3\) は全ての整数を表しています。それでは、これらの位置のサイトシンメトリーはなんでしょうか? 「そんなん \(\bar{1}\) に決まってるやん!」 と思うでしょうが、実は 4×4 行列で書き下すと中身が少し違うのです。すなわち、位置 \((n_1,n_2,n_3)\)を不変に保つ対称操作は$$ \begin{pmatrix}1&0&0&0\\ 0&1&0&0\\ 0&0&1&0 \\ 0&0&0&1\end{pmatrix},
\begin{pmatrix}-1&0&0&2n_1\\ 0&-1&0&2n_2\\ 0&0&-1&2n_3 \\ 0&0&0&1\end{pmatrix}\,\,\,\,\,\, \cdots (2)
$$となりますから、点群としての表記上は全て \(\bar{1}\) だったとしても、その中身(二つ目の行列の4列目)に違いがあるのです。さて、微妙に違うけど明らかに似ているこの部分群同士の関係 (つまり\((1)\) と \((2)\) の関係) をどう表現したらよいでしょう。ここで、「共役」 部分群という概念を思い出してください。空間群 \(G\) から元 \(g\) をひとつ選んだとき、部分群 \(H\) と部分群 \(g^{-1}Hg\) の関係を共役というのでした (別ページもご覧ください)。この場合、\((1)\) の群に対して例えば \(P\bar{1}\) の元の一つである $$
g=\begin{pmatrix}1&0&0&-n_1\\ 0&1&0&-n_2\\ 0&0&1&-n_3 \\ 0&0&0&1\end{pmatrix}
$$という操作を共役的に作用させたら \((2)\) の群と一致しますから、\((1)\) と \((2)\) は共役な部分群であるといえます。そしてこの議論は \(n_1,n_2,n_3\) を何か特定の整数に限定したわけではありませんでした。すなわち、\((n_1,n_2,n_3)\) のサイトシンメトリーは、全て共役部分群の関係となるわけです。


 説明が長くなりましたが、これでやっとワイコフ位置の定義を明確に説明することが出来ます。まずワイコフ位置とは、一つの位置を指すのではなく、等価な位置の集合を区別する言葉です。そして、ある位置のサイトシンメトリーが別の位置のサイトシンメトリーと共役な関係にあれば、それらの位置は同じワイコフ位置であるとみなします。等価な位置集合から例えば二つの位置を取り出すと、その二つの位置のサイトシンメトリーは必ず共役な関係にありますので、等価な位置集合は一つのワイコフ位置に属します。たとえば、\((n_1,n_2,n_3)\) という位置の集合は同じワイコフ位置に属しているのです。

 それでは、$$(x+n_1,y+n_2,z+n_3) \,\,\, , \,\,\, (\bar{x}+n_1, \bar{y}+n_2, \bar{z}+n_3)$$という等価な位置集合のワイコフ位置と、\(x,y,z\) にそれぞれ \(0.1, 0.2, 0.3\)を加えた $$(x+0.1+n_1,y+0.2+n_2,z+0.3+n_3) \,\,\, , \,\,\, (\bar{x}-0.1+n_1, \bar{y}-0.2+n_2, \bar{z}-0.3+n_3)$$という等価な位置集合のワイコフ位置は、同じとしてよいでしょうか?どちらの場合もサイトシンメトリーは \(1\) (恒等変換のみ)です。恒等変換のみの部分群は必ず自分自身に共役ですから、これら二つの等価位置の集合は同じワイコフ位置に属しているといえます。すなわち、サイトシンメトリーが \(1\) のワイコフ位置はただ一つ挙げるだけで十分なのです。

 ちなみ、あるワイコフ位置に所属する等価な位置の集合は無数にありますが、通常はひとつの単位格子内に関して表現するのが普通です。座標の各成分に整数を加えれば隣の単位格子について表現できることは自明だからです。したがって、これまでの例で出てきた \(n_1, n_2, n_3\) という文字は削除して、「ワイコフ位置 \((x,y,z) \, ,\, (\bar{x}, \bar{y}, \bar{z})\)」 とか、「ワイコフ位置 \((0,0,0)\)」 などと表現しましょう。


 もう少しだけ話を続けます。実は空間群 \(P\bar{1}\) には、サイトシンメトリー表記としては\(\bar{1}\) だが 「ワイコフ位置 \((0,0,0)\) 」 とは区別しなければならないワイコフ位置があります。例えば \((\frac{1}{2}, \frac{1}{2}, \frac{1}{2})\) という位置のサイトシンメトリーは $$
\begin{pmatrix}1&0&0&0\\ 0&1&0&0\\ 0&0&1&0 \\ 0&0&0&1\end{pmatrix},
\begin{pmatrix}-1&0&0&1\\0&-1&0&1\\0&0&-1&1\\0&0&0&1\end{pmatrix}
$$という二つの操作からなる点群 \(\bar{1}\) です。ただこの点群は、どうやってもワイコフ位置 \((0,0,0)\) に所属する位置のサイトシンメトリー (例えば \((1)\) の点群) とは共役な関係になりません2。したがって、 \((0,0,0)\) と \((\frac{1}{2}, \frac{1}{2}, \frac{1}{2})\) は別のワイコフ位置とみなします。このようなワイコフ位置には他にもありますが、見落とさないようにするのは大変です。素直にITA (International Tables for Crystallography, Volume A) を見ましょう。ITAを見ると、\(P\bar{1}\) には以下の九つのワイコフ位置があります。

Multiplicity
(多重度)
Wyckoff Letter
(ワイコフ文字)
Site Symmetry
(サイトシンメトリー)
Coordinates
(座標)
2\(i\)\(1\)\((1)\, x,y,z\,\,\,\,\, (2)\, \bar{x},\bar{y},\bar{z},\)
1\(h\)\(\bar{1}\)\( \frac{1}{2}, \frac{1}{2}, \frac{1}{2}\)
1\(g\)\(\bar{1}\)\( 0, \frac{1}{2}, \frac{1}{2}\)
1\(f\)\(\bar{1}\)\( \frac{1}{2},0, \frac{1}{2}\)
1\(e\)\(\bar{1}\)\( \frac{1}{2}, \frac{1}{2}, 0\)
1\(d\)\(\bar{1}\)\( \frac{1}{2}, 0,0\)
1\(c\)\(\bar{1}\)\(0, \frac{1}{2}, 0\)
1\(b\)\(\bar{1}\)\( 0,0, \frac{1}{2}\)
1\(a\)\(\bar{1}\)\(0,0,0\)

全ての空間群には、必ずサイトシンメトリー \(1\) のワイコフ位置が一つだけ存在し、最大の多重度をもちます。このワイコフ位置を一般位置といいます。一方それ以外のワイコフ位置を特殊位置といいます。特殊位置は座標 \(x,y,z\) に何らかの制限が課され、そのサイトシンメトリーは \(1\) 以外の記号になります。同じ記号が何回も現れることもありますので、それらを区別するためにワイコフ文字が使用されます。

 ワイコフ位置を表現する際は多重度とワイコフ文字を組み合わせて使うことが多いです。例えば 「空間群 \(Pnnm\)のワイコフ位置 \(4f\) には・・・」 みたいな感じで使うとかっこいいでしょう。


 最後に、ここでは空間群 \(P\bar{1}\) のみ例として取り上げました。全ての空間群についてのワイコフ位置は (結晶系ごとに分けて) 別ページに記載しています (三斜・単斜晶系直方晶系正方晶系三方・六方晶系立方晶系)。興味のある方は参考にしてください。また、ワイコフ位置の計算をコンピュータプログラムに応用したいという方は、NIMSの東後篤史さんが中心となって開発されているソフトウェア”spglib”のソースコード (例えば https://github.com/spglib/spglib/blob/develop/database/Wyckoff.csv) が参考になります。


サイトシンメトリーの記号の読み方

 一言でいうと、点 “\( .\)” を取り除けば通常のヘルマン・モーガン記号です。ただし点 “\( .\)” にも重要な意味があります。以下に例を挙げながら、正しいサイトシンメトリー記号の読み方を説明します。(なお、この内容はITA 2.1.3.12の内容を意訳したものです。正確な理解を得たい人は原著を読んでください。)

例1: \(P4_22_12\) におけるワイコフ位置 \(4f\) のサイトシンメトリー “\(.\,.\,2\)”

 \(P4_22_12\) (正方晶系)において、ワイコフ位置 \(4f\) のサイトシンメトリーは “\(.\,.\,2\)” です。点 “\( .\)” の前後に区切りを入れると意味が分かりやすくなります。すなわち、”\( .\,|\, . \,|\, 2\)” のように区切られると考えましょう。点 “\( .\)” の意味は 「その主(あるいは副)軸 には何も対称操作はないよ」 という意味です。別ページで記載している通り、正方晶系の場合の軸設定は

です。したがって “\(.\,.\,2\)” は、主軸と第1副軸には何もなく、第2副軸に \(2\) があるという意味になります。すなわち、\([110]\) あるいは \([1\bar{1}0]\) のいずれかの方向に \(2\) 回転操作を有するという単斜晶系の点群 \(2\) です。

例1′: \(P4_22_12\) におけるワイコフ位置 \(4f\) のサイトシンメトリー “\(2\, .\, 22\)”

 同じく \(P4_22_12\) において、ワイコフ位置 \(2b\) のサイトシンメトリーは “\(2\, .\, 22\)” です。まず最初の “\(2\)” は 主軸 (\(c\) 軸)方向に \(2\) があり、次の “\( . \)”は第1副軸に何もないことを意味します。最後の “\(22\)”はひとかたまりと考えて、第2副軸に対応する\([110]\) と \([1\bar{1}0]\) の両方の方向に \(2\) があるという意味になります。\(c\) と \([110]\) と \([1\bar{1}0]\) は全て直交しますから、このサイトシンメトリーは直方晶系の点群 \(222\)ということになります。

例2: \(I23\) におけるワイコフ位置 \(6f\) のサイトシンメトリー “\(222\,.\,.\)”

 \(I23\) (立方晶系)において、ワイコフ位置 \(6f\) のサイトシンメトリーは “\(222\,.\,.\)” です。すなわち主軸に関する対称操作は “\(222\)” であり、第1副軸と第2副軸には何もなし、ということになります。立方晶系の場合の軸設定は、

ですから、主軸である \(a\), \(b\), \(c\) 軸それぞれに \(2\) の操作を有する直方晶系の点群 \(222\)ということになります。

例3: \(Pn\bar{3}n\) におけるワイコフ位置 \(6b\) のサイトシンメトリー “\(42\,.\,2\)”

 \(Pn\bar{3}n\) (立方晶系)において、ワイコフ位置 \(6b\) のサイトシンメトリーは “\(42\,.\,2\)” です。先ほどと同様に、主軸が “\(42\)”、 第1副軸 が “\(.\)”、第2副軸が “\(2\)” に対応するのですが、少し記号の読み方に注意が必要です。

 まず、「主軸が “\(42\)” 」 という意味は、主軸である \(a\), \(b\), \(c\) のどれか一つの方向には \(4\) 回回転軸が存在し、残り二つの方向には \(2\) が存在する、ということになります。それならば “\(422\)” と書くべきでは?と思われるかもしれません。ただ、”\(422\)” と書いてしまうと正方晶系の点群 \(422\) と混同してしまうおそれがあります4ので “\(42\)” と表記することになっています。

 次の第1副軸は “\(.\)” ですので何もありません。最後の第2副軸には “\(2\)” と表記されていますが、これは六方向に存在する第2副軸 \(<\!\!110\!\!>\) の中には \(4\) 回回転軸と直交する方向が二つあり、それら二つの方向に \(2\) 回回転軸 が存在するという意味になります5。それならば “\(22\)” と書くべきでは?という疑問は、先ほどと同様に正方晶系の表記法を考慮することで解決されるでしょう。

 以上をまとめると、この空間群のサイトシンメトリー “\(42\,.\,2\)” は、 \(a\), \(b\), \(c\) 方向のどれか一つを主軸とし、残り二つを第1副軸とする、正方晶系の点群 \(422\) であるということになります。

例4: \(P4_2/nnm\) におけるワイコフ位置 \(2a\) のサイトシンメトリー “\(\bar{4}\,2\,m\)”

 \(P4_2/nnm\) (正方晶系)において、ワイコフ位置 \(2a\) のサイトシンメトリーは “\(\bar{4}\,2\,m\)” です。このような、点 “\(.\)” が含まれないような表記もあります。”\(\bar{4}\)” と “\(2\)” と “\(m\)” はそれぞれ主軸と第1副軸と第2副軸に対応します。つまり、空間群の軸設定のままの点群 \(\bar{4}2m\) ということになります。

まとめ

 以上の例で示した通り、サイトシンメトリーの表記法は少し癖がありますが、点 “\(.\)” を取り除いたら点群表記と一致するというルールがあり、それを達成するために、空間群の結晶系よりサイトシンメトリーの結晶系が低い場合は、ひとつの軸に対して二文字以上の文字を使う場合があります

 点 “\(.\)” も大事な役割を果たしています。すなわち点 “\(.\)” を使うことによって、空間群の軸設定と、サイトシンメトリーの示す点群の軸設定の関係が明確にすることができます。例えば立方晶系の空間群において “\(222\,.\,.\)” および “\(2\,.\,22\)” という二つのサイトシンメトリーは、共に直方晶系の点群 \(222\) ではあるものの方向は異なることに注意しましょう6


脚注

  1. 対称心操作 ( \( \bar{1} \)) と 鏡映 ( \(m=\bar{2}\) ) も回反操作の一種です。 ↩︎
  2. もし$$g=\begin{pmatrix}1&0&0&\frac{1}{2}\\ 0&1&0&\frac{1}{2}\\ 0&0&1&\frac{1}{2} \\ 0&0&0&1\end{pmatrix}$$のような操作 \(g\) があれば、$$
    g^{-1} \begin{pmatrix}-1&0&0&1 \\ 0&-1&0&1\\ 0&0&-1&1 \\ 0&0&0&1\end{pmatrix} g=
    \begin{pmatrix}-1&0&0&0 \\ 0&-1&0&0\\ 0&0&-1&0 \\ 0&0&0&0\end{pmatrix}
    $$とできるのですが、この空間群の場合、元の4列目の成分は必ず整数ですので、\(g\) のような元はあり得ないのです。 ↩︎
  3. 小文字で26文字使い果たしたら、大文字のAに戻ります (空間群 \(P2/m\ 2/m\ 2/m\) のみこのケースに該当)。 ↩︎
  4. 三つの直交する\(c\), \(a\), \(b\) 軸方向にそれぞれ \(4\), \(2\), \(2\) の操作が存在するとき、その点群は \(422\) です。ただし、点群記号中の最後の “\(2\)” は、\(b\)軸方向ではなく、\([110]\) と \([1\bar{1}0]\) 方向に “\(2\)” が存在するという意味です。 ↩︎
  5. 例えば \(4\) が\(c\) 軸方向であれば、それと直交するのは \([110]\) と \([1\bar{1}0]\) 方向の二つです。 ↩︎
  6. 前者は \(a\), \(b\), \(c\) 軸の三つの方向に \(2\) が存在します。後者は \(a\), \(b\), \(c\) 軸のいずれか一つの方向に \(2\) が存在し、さらにそれと直交する \(<\!\!110\!\!>\) の中の二つの方向に \(2\) が存在します。両者は45°の角度関係になります。 ↩︎
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